32 - ロマンポルノ・リブート全部観た

 ロマンポルノ・リブート全部観た。

 

映画『ロマンポルノ・リブート・プロジェクト』公式サイト

 

  「上映時間80分前後」「10分に1回の濡れ場」「製作費は、全作品一律」「撮影期間は1週間」「完全オリジナル作品」「ロマンポルノ初監督」という6つの条件で作られた5作品。ポルノという、没個性が求められる媒体で逆に監督の個性を際立たせようという試みが非常に興味深く、私もロマンポルノ大好きな変態と化しながら映画館へ通った。思うところもあったので、各作品の雑感を残す。

 

1.ジムノペディに乱れる(行定勲 監督)

1週間―。
撮れない日々が続く映画監督の古谷(板尾創路)は、
鬱屈とした気持ちを抱えながら、
肌のぬくもりを求めて女たちの隙間を彷徨っていた。
仕事、名声、そして愛…
全てを失った男が、辿り着いた先に見つけたものとはー?

 『世界の中心で、愛をさけぶ』の大ヒットでサブカルな人々に「売れているものがいいものではない」という思想を強烈に焼き付けた行定監督(個人の感想です)がロマンポルノを撮るというだけで面白い。

 とにかく、手を変え品を変えたくさんのオンナたちとヤリまくる。寝取ったり寝取られたり、「テメエなんで俺のTシャツ着てんだよォ!」と怒鳴られつつ寝取られ男と迫真のデッドヒートしたりする。面白い。

 しかし、とにかくヤリまくる主人公・古谷だが、その裏には女一人への一途な愛がある。セックスに理由があることで、ただのポルノから遠ざけている。つまり、共感の隙を設けている。企画が発表されたときから、ユーロスペースでの特集上映でかつてとは違う見方をされていることが取り上げられたり、女性に、女性にと繰り返されていたこととつながり、すごく腑に落ちた。この万人受け(ロマンポルノだが)は、嫌いな人には嫌われるタイプなのだろうけど、ヒットメーカー、行定勲監督の個性がよく現れているのではないか。

 冒頭おっぱい露出シーケンスが無茶苦茶素晴らしかった。

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2.風に濡れた女(塩田明彦 監督)

都会の喧噪を避け、過去から逃げるように
山小屋で暮らす男・高介(永岡佑)は、
生命力を持て余し、
野性味溢れる魅力を放つ女・汐里(間宮夕貴)との
出会いによって、
欲望の渦に巻き込まれていくはめに…。

 「 あんた、アタシにロックオンされたんだ! 逃げられると思うなよ!?」

 主人公、劇作家の男、高介は女性関係の失敗をきっかけに都会から逃げ出し、山に小屋を立てて暮らしている。彼と不可思議な出会いを果たした謎の女、汐里や、東京時代の高介を知る訪問者たちが、ヤッてヤッてヤリまくるポルノ・コメディである。

 この、演劇というのがキモで、大自然を背景に繰り広げられる奔放なセックスの饗宴に、嘘のフィルタを一枚噛ませる効果を発揮している。間宮夕貴演じる汐里は怪演の域で、日プロ大賞も納得。特にハイエースの前に整列した童貞が順番に車内に入って狩られるところを文系サブカル女子大生とハメながら見るシーン(意味不明だがそのとおりなので観てほしい)が最高だった。

 山、海、炎、闇、夜の店舗等々、そこにあるものを使って非現実空間を作り、真ん中にまぐわう男女を置くというやりかたが上手い。あけっぴろげで、男の方がちょっと情けないセックスの数々は、なるほどポルノの枠には収まりきらないロマンポルノだった。

 食うか食われるか!だけではなくこういう女の子も出るのでその方面もぜひ。なんなんだよこの眼鏡は。

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3.牝猫たち(白石和彌 監督)

池袋の夜街を漂う3人の女。
呼び出された男たちと体を重ね、
そして、また夜が明ける―
都会の中で孤独を感じながら
颯爽と現代を生き抜く女たちと、
それを取り巻く男たちの物語。

 真面目か!!!

 『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』等のクライム・サスペンスで名を知った白石監督がロマンポルノ!?と聞いて劇場へ馳せ参じた。内容は、真面目というか、ストーリー重視の抜けないエロ漫画のような感じ。アフレコで昔っぽさを出しているのがまた、企画に真面目だ。

 三人のヒロインにそれぞれ社会問題的なものを背負わせてしまうのが、さすがである。ただ一方で、エロ漫画っぽいと感じたのは、三人を取り巻く男たちの現実からの浮遊だった。真面目さと、エロ漫画っぽさが、今ひとつマッチしていない。社会派で頭のいい監督が、必死で頭の悪いポルノをやろうとしているかのような、ぎこちなさが漂う作品だった。

 それにしてもJJエイブラムスかよっていうレンズフレアが過剰で笑ってしまった。角海老が絢爛と輝くレンズフレア

 とろサーモンの出演はNetflixの『火花』とのつながりを感じさせられた。

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4.アンチポルノ(園子温 監督)

小説家兼アーティストとして
時代の寵児となった京子(冨手麻妙)。
極彩色の部屋に籠もり、
マネージャー典子(筒井真理子)が
伝えるスケジュールを分刻みでこなす毎日。
寝ても覚めても終わらない悪夢。
私は京子なのか?京子を演じているのか?
虚構と現実の狭間で、
京子の過去の秘密が暴かれていく―。

 園子温監督が今怒っていることへの怒りをぶつけたような作品で、面白いかつまらないかで言ったらつまらない。女性を描いていることと色彩のドギツさを見るに、ペドロ・アルモドバルへの意識があるような気がする。

 いつもの園子温と言えばその通りなんだけど、正直、2011年以前のような作品はもう観られないのかと思うと、寂しい。

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5.ホワイトリリー(中田秀夫 監督)

傷ついた過去を慰めあうように
寄り添い生きてきた
二人の女・はるかと登紀子。
彼女たちの秘密に
踏み込んできた男・悟によって、
それぞれの愛が暴走をはじめるー。

 これはまじでいいものでした……飛鳥凛さんが、仮面ライダーWで園咲若菜役を演じた飛鳥凛さんが脱ぐという衝撃に私の股間のエンジンブレードもマキシマムドライブです。申し訳ないが他作品の主演女優さんより一枚上手に若くて綺麗だから、テント張らせるパワーが段違いなんだよ。

 おすすめなのは、ずばり、ひげなむち先生の成コミが好きな人。名の通りの百合ものなんですが、性に奔放でバイな「先生」と、彼女に心酔するレズで処女な少女のカップリング。と来れば、寝取り男がすることはひとつである。

 百合の花が散る官能的な女同士の絡みシーンから、嫉妬に我を失う少女。細かいセリフやシチュエーションはテンプレを踏んでくるんだけど、そのシリアスと笑いの境界線を曖昧にするセンスは、Jホラーの息吹を感じられた。女性の体のパーツへ異様に寄ったショットも、ポルノというよりは、シリアスと笑いの境にある、お耽美の世界だった。ロマンだよなあ~、ロマンポルノってのはよォ~。

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 映画離れが叫ばれる一方、邦画が熱い!と盛り上がる昨今。作家性で勝負するというロマンポルノ・リブートの試みが、原作ものやフランチャイズ主体になりがちな映画界に一石を投じたことは間違いない。いち鑑賞者として、その波紋が大きく広がることを願ってやまない。いえ、決して股間を盛り上げるためではなく。文化、文化だから。

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