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初夢は援助交際でした。 

林 on Twitter: "古来、援助交際の初夢は吉兆。"

今年もいい一年になるだろう。

 

■ベイマックス

 胸が熱くなる冒険譚だ。兄の死の真相に迫るスリリングな展開を巧みに緩和していくベイマックスのキャラクターに脱帽する。加えて、登場人物らが科学(学問)に熱中している姿が、とても魅力的に描かれていることが印象に残った。これは世界観そのものにも通じる。サンフランシスコと東京を融合させたという都市を走る少年の姿を見ているだけで、ここの住民になりたいという誘惑に駆られるのだ。

 単なる楽観主義の産物ではこうはいかない。真に迫った夢を見たときほど、寝床から起き上がりたくなくなるものだ。そんな世界で、志を同じくする仲間や頼れる相棒とともに、空を飛んで悪党を懲らしめる。胸を打つのはほんわかした安心ではなく、熱い鼓動だ。

 思えばかのネコ型ロボットだって、"理想の友達"は魅力の半分でしかなかったのだから。

*1 *2

 

大江戸捜査網2015

 新春時代劇は最高。

 殺陣がいまひとつ、演出が軽い、等々不満はあるが正月にコタツで見るものとしてとてもよかった。

 一番のプラス点は言葉遣いかもしれない。NHKの時代劇*3を時々見てみても、完全な標準語・現代的な価値観で演出されているものに行きあたる機会が増えた。江戸ことばやしぐさの正体は誰にもわからない。だが、時代劇というフィクションにおいて、それらしさの様式美を継承することには意義がある。本作も100点満点とはいいがたいが。

 何より、準備しろでなく「支度せい」、お元気ででなく「お達者で」という言葉を聞きたくて、我々は時代劇を見るのではなかろうか。拙者はそう思案するのでござる。御免。

 

■ゴーン・ガール

 よいサスペンスにはいくつかの前提条件がある。第一に、主演女優が美人であること。第二に、男優が格好よすぎないこと。サスペンスを駆動するのは悪女と彼女に振り回される男なのだ。

 さて本作は完璧だ。ロザムンド・パイクはパーフェクトな金髪美女だし、ベン・アフレックのトボけた顔*4は「あ、こいつじゃ勝てない」と思わせるに十分だ。仕掛けに穴があったとしても、男が愚かで女が美人なら辻褄はあってしまう。

 6K撮影されたという硬質な映像も、静かな狂気を描く上では最適解に見えた。これ抜きにして2014年ベストを語るなという噂に偽りなし。バカだからやっぱり独身って最高だよなって思った。

 

メビウス

 セリフなし、叫びや喘ぎ声だけ*5で"男性器の切断"というとんでもないテーマを扱っている本作。ある母親が夫の不貞に悩んだ挙句、紆余曲折を経て息子の男性器を切断するところまでが冒頭。そこからどんな壮絶な物語が始まるのか……と手に汗していると、これが何ともしょうもない露悪趣味だ。男性器がなくて困ることは? と想像して思いつくことは全部盛り込まれている。"性に正面から向き合った力作"と取るか、笑い飛ばすかは観る人次第、なのかなあ。

 もちろん、そんな悪趣味ばかりではない。作中には二人の女が登場するが、彼女らには作品のテーマを強く語るある仕掛けが施されている。こればかりはネタバレなしで観るべきだ。

 

<(。ε゜)>言葉はいらない

 

*1:吹替の演出がよかったことも特筆に値する。「正しいこと」とタダシのリフレイン、そして「ベイマックス、もう大丈夫だよ」という言葉の柔らかさ。原語では"I am satisfied with my care"となるらしく、どうもイマイチだ。表意文字のありがたみを期せずして感じることになった。

*2:もっとも、真に恐るべきは、この美しく魅力的な夢の世界が、綿密で計算高いマーケティングの産物であるに違いないことかもしれない。 

*3:スイーツ大好き姫には頭を抱えた。

*4:本作のダメ男はバットマンへの不安が天井知らずになるほどのはまり役だった。つらい。

*5:完全にTEXHNOLYZE ROGUE 01 "STRANGER"