31 - 007についての妄言

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007/グレート・アゲイン(2018年公開予定)

 バハマ、ナッソー。英国機密諜報部員ジェームズ・ボンドは、あるサイバーテロリストの男を追跡していた。いけすかない上司曰く、彼はロシアによるアメリカへのサイバー攻撃の実行犯。CIAのフェリックス・レイターら旧知の仲間の協力を得て、ボンドは逃げる男を追い詰める。「殺すなよボンド、目的は保護だぞ」とレイター。標的を殺してばかりのボンドの悪名は大西洋を越えていた。だが、ようやく確保する寸前、謎の狙撃手により男は射殺されてしまう。

 作戦は失敗。お冠のMを無視したQの演説会が始まる。「ジェームズ、こいつの弾丸を受けるべきは、金遣いが荒い君の方かもしれないね」狙撃の弾丸は純金製。側面には『MAGA』と刻印されていた。「以前にウクライナで同じ金の弾丸を用いた殺人事件があった。親ロ派の背後にロシアの諜報工作があると指摘したジャーナリストが射殺された事件だ。ま、刻印はなかったけどね。その際、捜査線上に浮かんだのがこの男、名前はスカラマンガ」

 そしてMから新たな命令が下される。スカラマンガと思われる男がアメリカに入国。目的はある少女の殺害だというのだ。「例のサイバーテロリストは、自身の犯行の証拠を妹に託していた。国際ハッカー集団・アノニマスからの情報だ。この男は、元アノニマスのメンバーだが、特定の国家機関への利益供与を行ったとして除名されている。妹は現役のメンバーだ。スカラマンガの入国は彼女の殺害が目的と思われる。彼女を保護しろ」「なぜ私が。優秀なCIAの連中にやらせればいい」「我が英国をEU離脱に至らしめた世論形成においてもこのサイバーテロリストが関係している疑いがあるのだよ。加えて、スカラマンガの雇用主を辿った結果、ある男に辿り着いた。君も知っている男だ」米国大統領選の共和党側選挙コンサルとして、ドナルド・トランプの勝利に貢献したと言われる男。メディアへの露出は極端に少なく、出回っている写真も数枚のみ。スカラマンガの雇用主でもあるというその男の顔を一見して、ボンドは顔色を変えた。「少しはやる気が出たかね、ボンド君」仇敵エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドその人であった。

 新たな装備と新たな車をQから受け取るボンド。行き先は米国、ミズーリ州セントルイス。「マティーニの代わりにバドワイザーだ、嬉しいかい、ジェームズ?」「くそくらえだ」「行ってらっしゃい。メイク・アメリカ・グレート・アゲイン……勝利のおまじないさ」

(ここまで30分)(続かない)