33 - 大阪へ行った

 ダンケルクIMAX次世代レーザーで鑑賞するため、大阪へ行った。前日まで仕事で出張先ビジネスホテルへ軟禁、当日AMも地獄現場へ出勤しての強行日程。おまけに翌日には台風が来る散々な旅行だった。

 ただし、出張ぐらしにも多少はいいところがある。ビジネスホテルのポイントがありえんくらい貯まるのだ。1泊1ポイントで10ポイント集めると1泊無料みたいなポイントが170ポイントとか貯まる。170て。身長か。

 そんなわけで、都市に行くのであればどこでも宿代がタダになる身である。むしろ出張先は地獄限界地方都市が多く、宿代も安いので、都市に泊まるときにポイントを使ったほうが得になる。こんな情報知りたくはなかった。

 

 今回は梅田から御堂筋線でひと駅のところに宿が取れた。大阪に行くとしたら109シネマズエキスポシティ大阪の次世代レーザーIMAXが目的で、エキスポシティ大阪に繋がる大阪モノレール北大阪急行千里中央駅と接続していて、北大阪急行は地下鉄御堂筋線と直通している。なので、御堂筋線に宿を取るととても楽だった。

 ダンケルクは1泊開けた翌朝一番の回を取ったので、夜が暇だった。そこで、梅田方面へ足を伸ばしてみることにした。噂の梅田ダンジョンを体感しておこうという腹である。すると、面白いように迷う。目で見える、道路の向こうに行きたいのに、行けない。地下街に入ると絶対に迷うから地上を進めばいい、などという浅知恵を横断歩道のない道路が嘲笑う。新設された歩道橋がなければたぶん死んでいた。かと思えば2階から1階へ降りようと思ってエスカレータに乗ると地下1階まで直通で輸送される。ナメてんのか。ファイファンやってんじゃあねーんだぞ。

 目的地は梅田ブルク7ベイビー・ドライバーの鑑賞のためである。

 前回、ハドソン川の奇跡を次世代レーザーIMAXで観るため大阪を訪れた際に、大阪市内の映画館をあちこち巡り歩いていた。90年代の情緒が残るあべのアポロシネマ、西のアップリンク的な雰囲気のあるシネ・ヌーヴォアメリカ村の喧騒の中でとても若者受けしそうにない映画ばかりかけるシネマート心斎橋。人が多い場所は映画館のバリエーションも多くてよい。どうかシネマ・コンプレックスの波に飲まれず末永く生き延びて欲しい。

 さておき、同じところというのも芸がない。そこで、今回は新しめのところへ行ってみよう、と思いたち、ブルク7を選んだのだ。

 道に迷う途中、期せずしてTOHOシネマズ梅田の威容を見上げることにもなった。梅田周辺もシネマ・コンプレックスの進出に伴い、既存映画館群の再編が起こった様子。どこも同じなのだと知り、もう潰れた、お気に入りだった映画館のことを思い出しつつベイビー・ドライバーを観れば、思春期の頃に夢中になった音楽がかかるかかる。QueenBrighton RockとかSimon&GarfunkelのBaby Driverとか好きでしたよ。あ、これってあれだ、秋ってセンチメンタルですよね…ってやつだ、とひとりツボに入る夜。秋ってセンチメンタルですよね…。

 

 翌朝、早起きしてダンケルクを観、台風が来る前に東へ逃げる。551HORAIをまた買い損ねたことを除けば、いい大阪だった。