40 - 月刊機動戦士 宇宙世紀0097年2月号 巻頭特集「ガンダムNT-1アレックスのシールド開閉機構は実在した! 元AE社技術主任が語る驚愕の真実!」

月刊機動戦士 宇宙世紀0097年2月号 巻頭特集「ガンダムNT-1アレックスのシールド開閉機構は実在した! 元AE社技術主任が語る驚愕の真実!」

 

 ガンダムNT-1/アレックス。0079年当時、アムロ・レイ専用MSとして開発された、RX-78ガンダムの発展機である。0079年末、サイド6リボー・コロニーにおいて、ジオン公国軍の特殊部隊サイクロプス隊との二度の交戦で中破。現代にもつながる全天周囲モニターを他に先駆けて採用するなど、MS開発史を語る上では避けて通れない機体である。
 昨年発売された1/100のスケールモデルが大きな物議を醸したのは、読者諸君もご存知の通りである。これまでの研究では、腕部に装備された90mmガトリング砲は、シールド装備時には使用不能とされてきたが、このスケールモデルでは、射線を確保するようなシールドの可動機構を採用。そして採用の根拠として、独自ルートから入手したという0079年当時の図面を公開したのである。
 その図面には、確かにシールド内部に可動アームのようなものがあり、シールドのうちNT-1の特徴である青色の部分が大きく開閉する機構が盛り込まれていた。
 果たしてこれは真実なのか。それとも図面そのものが捏造で、妄想に走りがちな軍事オタクの仕業にすぎないのか。
 我々こと、宇宙世紀の真実に迫るただひとつのモビルスーツ専門誌 月刊機動戦士編集部でも調査を開始。そしてある人物に辿り着いた。当時、地球連邦軍オーガスタ研に出向し、その後NT-1とともにサイド6へ上がったアナハイム・エレクトロニクス社(以下AE社)の元技術主任・T氏である。彼は匿名を条件に我々の取材に応じた。以下にその全文を公開する。

 



NT-1の真実


――さっそくですが、NT-1のシールドの開閉機構は実在したのでしょうか。

T氏:はい、実在しました。ですが実戦に用いられることも、これまでその存在が取り沙汰されることもなかった。その理由を語るには、一年戦争当時のMS技術について、振り返る必要があります。
 まず、一年戦争当時に実戦投入されたMSの中に、シールドに何らかの防御壁以上の機能を持たせたものを思いつきますか?

――真っ先に思いつくのは、ZEONIC社のギャンです。

T氏:あの変態ですか。あと、ギャンはZIMMAD社ですね。連邦系では?

――ジム・ストライカー。あれはシールドにパイルバンカーが搭載されていましたね。

T氏:スパイク・シールドですね。あれはシールドの内壁に炸薬と、その爆圧で駆動するシリンダーを仕込み、シールドの突端部を駆動させてバイルドライバーとして射突する機構です。そうでもしないとMSの装甲を貫くなど困難だったのですね。トリガーはシールド側に仕込まれ、モビルスーツのマニピュレータで押したそうです。ジム・ストライカーにはリアクティブ・アーマーも装備されていましたから、その技術が流用されたと聞いています。他には、格闘戦クローをシールドに装備した、グラップル・シールドなどもあったそうです。
 さて、これらの機構と、NT-1のシールド開閉には大きな違いがあります。それは何かおわかりですか?

――シールド自体が武器であるか否か……

T氏:それも正解ですが……答えは、本体との信号取り合いの有無です。ジム・ストライカーは基本的に試作機で、当時は――今も変わりませんが――MSのソフトウェア技術者が慢性的に不足していたことも手伝って、ハード側の改造とパイロットのオペレーションで奇天烈な武装を使いこなしていました。ですがNT-1ではそうはいきません。なにせシールドの開閉は、90mmガトリング砲の展開・収納と連動する必要があります。コックピットからの指示でシールド装備側のガトリング砲がアクティブになったら、同じタイミングでシールドを開かなければならない。しかも、流出したデータからもご承知と思いますが、青色に塗装された部分すべてが開くのです。開閉機構には相当な負荷がかかります。当然、射撃を行うわけですから、その開閉速度には生き死にがかかっています。武装の特性上集弾性が悪く、比較的近距離での使用が想定されましたから……その開発がいかに困難であるかは、ご想像いただけるかと思います。当然、防御に用いますから機構には堅牢性も求められます。ジム・ガードカスタムというMSをご存知でしょうか?

――名前だけは……

T氏:あれはシールドに小口径のガトリング砲が搭載されていましたが、その名の通りシールドが特別仕様でした。四種の素材を用いた五層の複合装甲で作られていたのです。ゆえに、電装系の耐衝撃試験基準も、ビーム・スプレーガンの射撃信号をマニピュレータ-ライフル間で取り合うものと同じ基準が用いられました。機能化シールドの体系的な開発は一般に0084年に開始されたTR計画がその先触れであったと言われていますが、今にして思えば、ガードカスタムの方が先行していましたね。しかし重量は相当なものになりましたから、ジェガン系のようなサイズでもない当時のジム系のトルクで、あれを支えるとなると……パイロットの苦労はあまり想像したくありませんね。*1
 話をNT-1に戻しましょう。

 


なぜ開くのか


――まず、開閉機構が必要と判断された理由から、お聞かせ願いますか?

T氏:身も蓋もないことを言えば、開発途中のデータを見た連邦軍の高官から、チョバム・アーマーやシールド装備時に使えなくなる武装はいかがなものか、というコメントがあったことです。連邦軍高官のコメントは、我々にとって命令と同じです。
 そこでまず検討されたのが、開閉しないという案でした。

――高官の意見など蹴飛ばしてしまえ、ということですか?

T氏:いえいえ(笑)。90mmガトリング砲の弾丸には、ルナ・チタニウムが使用されています。MSの装甲材と同じですね。シールドは複合装甲化と耐ビーム・コーティングで装甲よりも強固で、90mmガトリング砲の直撃にもいくらかは耐えられる設計でしたが、そこで逆転の発想です。ガトリング砲の射線のみ、シールドを装甲と同等まで薄くしてしまえばいいのです。

――自身のシールドを内側から撃ち抜くわけですか。それは意表を突けるでしょうね。

T氏:意表を突く武装、という前腕内蔵の設計思想にも適う発想でした。ですが大きな問題がありました。
 MSのシールドは、戦闘機動中にどのような角度で構えられるか、わからないのです。その角度によっては、シールド内壁からの跳弾でNT-1自身にダメージが及びます。

――角度を計算してセーフティを設けるなどはできなかったのでしょうか。

T氏:難しいですね。その理由をご説明するにはまず、MSがシールドをどのように構えているかをご説明する必要があります。
 敵MS等を目視識別して、射線や刀跡を読んでシールドを構えられるパイロットは、ごく一部のエースに限られます。基本的には、メインカメラが収集した画像から戦術コンピュータが敵の装備している武装を識別し、最も自己の生存率が高まるように自動的に構えます。この際の挙動には、アムロ・レイ少尉*2によるRX-78ガンダムの運用データが用いられています。アムロ少尉がガンダムでどのようにシールドを構えたか。それによってどのようにザク・マシンガンやヒート・ホークを防いだかのデータが、すべての連邦パイロットの生命を守っているのです。私も当時、そのデータに大いに学ばせてもらった技術者のひとりです。なにせシールドの上半分が失われた状態でのデータまであったのです。アムロ少尉には悪いですが、ガンダムを追い詰めた一年戦争時のジオン兵らに感謝ですね。
 しかしアムロ少尉によるMSの挙動を機械学習した戦術コンピュータが、実際の戦場でどのような挙動を弾き出すかは、まあ言ってしまえばAIですからね、わかりません。わからないわけではないですが、必ず跳弾しない構え方に限り射撃を許可するなどという制御を行うと、今から撃ちます! という姿勢でしか射撃できなくなってしまう。

――そこで、開閉機構を設けるしかない、という結論に至ったわけですね。

T氏:ええ。小さい開口部を設ける案も、ごく小さな開閉機構を設けるという案も、同様の理由で却下されました。そこで我々は、シールドを大きく開閉する機構の開発に着手するわけですが……やはり問題があります。

 


数々の課題


――重量ですね。

T氏:はい。NT-1の腕はただでさえ重かった。フィールド・モーター技術の向上により関節部の小型化が可能になり、90mmガトリング砲の搭載も可能になったことはご存知と思いますが、砲身、回転機構、展開・収納機構、ルナ・チタニウムの弾丸等々、さらにチョバム・アーマーの装備も想定されたことで、腕部の負荷率は許容値ギリギリでした。そこへ土壇場でシールド開閉機構の重量まで追加されるわけです。当時の現場の阿鼻叫喚ぶりといったら、それはもう……。

――NT-1にはマグネット・コーティングが施されていたと聞いていますが。

T氏:あれは応答性の向上が主であり、トルク自体を上げるものではありません。そもそもがRX-78の基本設計を引き継いだものに後付で様々なものを載せたために、限界になってしまっていたのです。GP02サイサリスのように初めから巨大なシールドの運用を想定した高出力の腕部なら話は別なのですが。
 とはいえ、課題が現れたのなら持てる手段のすべてを尽くして解決するのが我々の仕事です。まずは開閉方式から検討を開始しました。

 


方式その1:地獄絵図


――まずはモーター、電気駆動ですか。

T氏:そうですね。まだその頃は、あの巨大なMSの手足が動くのだから、と楽観視していました。ですが、実際に強度・負荷率を計算してみると、いくつもの壁にぶつかることになります。
 まずはサイズ。シールドを大きく切り欠き開閉させるとなると、結局腕部と同等のモーターが必要になることがわかりました。専用設計する時間も予算もありませんでしたし、AE社内のユニバーサル思想はルナ・チタニウムよりも強いのです。しかしそれを搭載すると、前腕とのクリアランスがどうしても取れない。チョバム・アーマーも90mmガトリング砲もなければ簡単でしたが、そもそもがガトリング砲のためですからね。本末転倒です。加えてモーターの重量を支えると、ただでさえ許容値ぎりぎりだった負荷率がついにレッドゾーンになりました。するとせっかくフィールド・モーター技術の向上で小型化できたものを大型化する必要が生じ、ガトリング砲の配置もすべて再設計です。クリアランスが厳しくなると、先程述べました戦術コンピュータによるシールド自動構えにも補正を加える必要が出てくる。開閉機構のアームの剛性への要求値も一向に算出できません。
 そして堅牢性です。NT-1のシールドはガードカスタムのような特別仕様ではありません。形状こそ特殊ですが、耐衝撃試験基準も、ビーム・ライフルのそれよりも遥かに厳しいものが適用されます。まあ、適用自体が初めてだったのですが。規格や基準が時にモノづくりに先行するのが、AE社の強みであり弱みでもあります。ともかく、信号線は決して破断してはならない。シールド溶解直前までビーム・ライフルを受けた高温下でも、あらゆる角度でヒート・ホークを受けて傷の入った状態でも、90mmガトリング砲の射線を確保するため正常に駆動しなければならない。ミノフスキー粒子散布下では無線通信というわけにもいきませんし、レーザー通信には制約も多いですからね。
 堅牢性は制御ではなく、メカトロニクス設計にも及びます。モーターはそもそも回転運動を直線へ変換する必要がありますから、どうしても機構が複雑化します。そして高負荷には弱い。コンピュータシミュレーションとモックアップでの試験の両方で、戦闘機動を想定した衝撃を受けると、制御系が万全でも駆動不能に陥る場合があるのと結果が得られました。モーターを大型化することで可能と、あるいは駆動部アームの再強度計算・再設計をとシールド単体の技術者は言うのですが、すると腕部の担当者が負荷について怒鳴り、火器管制の担当が自動構えの補正値が決まらないから早く仕様を確定しろと騒ぎ、品質管理担当が機能化シールドの耐衝撃試験の内容に見直しの余地ありと発言してすべてひっくり返り……もう地獄絵図です。

――あまり想像したくありませんね。

T氏:最初に出社しなくなったのは、火器管制担当でした。彼は、最終的にすべてのしわ寄せを受けるとプロジェクトを悲観し、プレッシャーのあまり心身のバランスを崩しました。モーター駆動の検討を開始してから、全プロジェクトメンバーの実に30パーセントがメンタルヘルス不調と診断されました。誰もが追い詰められ、壊れかけていたのです。元気だったのは、私の上司くらいですね。
 そこで一旦駆動方式を白紙に戻しました。次に検討されたのが、油圧駆動です。

 


方式その2:重力に魂を引かれる


――作業用のプチモビのようにですか?

T氏:そうです。油圧駆動ならば機構は遥かに単純になります。専用設計のモーターには及びませんが、本体駆動と同規格のモーターを用いるよりも小型化が可能で、クリアランスの問題も解決可能との報告が上がりました。あらゆる戦闘機動を想定してもシールド自動構えの障害にならず、多少のアーム歪みでも無理くりに開閉が可能です。モーターと比較して応答性に課題は残りますが、そこは制御担当が頑張ってくれ、パイロットが90mmガトリング砲を選択してアクティブにしてから射撃可能になるまでの時間が、シールド非装備時プラス二秒まで縮める事ができました。腕を上げながら、ガトリングの展開に先行してシールドを開くのです。しかしそこで、誰もが忘れていた課題が明らかになりました。
 宇宙空間です。全員が、地上の重力下を想定しており、宇宙空間の無重力と低温、真空を想定していなかったのです。

――まさに重力に魂を引かれていたと。しかし、何が課題だったのでしょう。

T氏:まずは温度です。MS本体にも油圧駆動部やグリースの充填されたベアリングは無数に存在し、すべて超低揮発性で低温でも潤滑性が失われない油種が用いられています。しかしMSは待機するだけで発熱し、本体駆動部はその発熱を設計に組み込んでいます。では本体から離れたシールドではどうか。シミュレーションの結果はNGでした。しかしその結果を認められないシールド設計担当が、健気にも黒塗りして少しでも温度が上昇するようにした試作品でのテストを申し出……悲劇が起こりました。そもそも油圧は給油に基本的に重力を想定していることを忘れていたのですね。プチモビは低負荷想定ですから、毛細管現象を利用する無重力下でも運用可能な油圧シリンダしか搭載していません。我々はそんな基礎的なことも忘れていたのですよ。私も、今にして思えば、なぜあのような試験の実施を許可したのかわかりません。
 詳細は現在も原因不明ですが、固化した潤滑油が弾丸のように噴出し、その担当者のノーマルスーツのバイザーを突き破りました。即死でした。
 そしてプロジェクトは、完全に狂いました。思えばとっくの昔に狂っていたのかもしれません。

――ですが、シールド開閉機構は、実在したのですよね?

T氏:ええ。プロジェクトは再び白紙に戻りました。簡便、堅牢、安全、確実。これらを完全に満たせる方式は何か。夜を徹して議論が続けられました。そしてある時、私の上司がこう言ったのです。「モビルスーツの手は、なんのためについている?」と。
 その時、暗闇の中にいた我々に、光明が訪れました。口々に叫びました。モビルスーツは人の身体の延長。開かなければならない扉がある。我々はまず何をする。モーターか? 油圧か? 違うだろう。
 手で、開くのです。

 


方式その3:光明と虚無


――手で?

T氏:はい。シールドを装備していない方のマニピュレータで、シールドを、開くのです!

――開くのですか。よいしょ、と。

T氏:はい。我々人類はそのために、二本の足で立ち上がったのですから。記録映画を観たでしょう。ガンダム大地に立つ、です。

――いえ、しかし、それはあまりにも……

T氏:無様です。ええ、無様です。ですが当時の我々には、手で開く、という道の先にしか、光を見いだせませんでした。かくして手動開閉方式へプロジェクトは舵を切ります。パイロットのマニピュレータ操作は、自動のシールド構えよりも命令系統として上位に設定されていますから、干渉の問題はクリアです。そもそも干渉する部品のほとんどを取り払ったので当たり前なのですが、誰もそれには言及しませんでした。重量の問題もクリアです。なにせ駆動用のアームとレールを足すだけです。多少、シールドの被弾率が低いところの厚みを削って、重量の帳尻を合わせたそうですが。温度についてもクリアです。そもそも温度を考える必要がなくなったのですから。手の空いた制御担当は、シールドを開く構えにこだわりました。彼は徹夜で、最高にカッコいいNT-1アレックスのシールド手開きモーションを書きました。それを見た本体の統合設計担当が、装甲の取り付けを工夫すればさらに関節の可動域が広がり、カッコいいシールド開きができることに気づきました。チームの士気は最高潮でした。私もシミュレーション上だけでしたが、シールドを開くNT-1の姿を目にした時、涙がとめどなく溢れたことをよく覚えています。なんと美しいのだ、我々の仕事がついに実を結んだ、と。このモビルスーツは必ずや歴史に名を残す名機になる、最も強く、最も美しく、最高の戦果を挙げた伝説の機体になると確信しました。ジオンのザクめ、蜂の巣にしてやる! 私の目には、最高にカッコいい動きでシールドを開き、90mmガトリング砲でザクを仕留めるNT-1の姿が、確かに映っていたのです。おそらくプロジェクトメンバー全員の目にも。
 そして数度の試験と強度計算のやり直し程度で、ついに完成したのです。90mmガトリング砲の射線を確保する、シールドの開閉機構が。

――狂気の産物というわけですか。

T氏:と、言うには可愛すぎますね。エリート中のエリートが集まっていたはずの我々が作り上げたものが、最終的にはジムの現地改修試作機と大して変わらないのですから。むしろ劣っています。いや、どうしてこうなるのでしょうね。モノづくりって、本当に不思議です。

――連邦軍の高官の印象はどうだったのでしょうか。

T氏:ありませんでした。

――それは一体……

T氏:90mmガトリング砲は、チョバム・アーマー投棄後の隠し武装として運用する。シールドの開閉? そんなものは不要である。両腕にシールドを装備するわけでもあるまいし、空いた方の腕で撃てばいい。そもそもビーム・ライフルも装備する。テストパイロットへの指導もそのように、とのことでした。

――それを知った時の現場の空気は、どうだったのでしょう。

T氏:私の上司はなぜか得意満面でしたね。ほら、手で開く方式で正解だっただろうと。他全員は、激しい虚無感に苛まれ……しかし多くはそのまま、AE社の技術者として勤務し続けました。当時の仲間と飲むと、いつもあのシールドの話になります。思えば、NT-1のシールド開閉機構は、私たちの青春だったのかもしれません。そしてその青春は、NT-1がジオン軍サイクロプス隊と交戦した時に最後の花を咲かせ、ザクと相討った時に散華しました。結局、テストパイロット……あの赤毛の女の子は、シールド開閉のことを最後まで知らないままでした。

 


兵どもが夢の跡


――しかしその時培われた多くの知見や経験が、後の世に多くを残したのではないでしょうか。

T氏:どうでしょうね。NT-1の後にジム・クゥエルの開発に携わり、TR計画に参加した者などもいますから……あのシールド・ブースターなども、もしかしたら私たちの狂騒の孫娘かもしれません。まあ、今となってはジェガンがありますから、シールドの機能化など当たり前です。私たちのしたことは有意義だった、と思いたいですが……はっきり言います。無意味でしたね。

――可動といえば、昨今話題のRX-0の"変身"については、どのようにご覧になりましたか?

T氏:私の退社後に作られたもので本当によかったです(笑)。

――最後にお伺いします。あなたにとって、プロフェッショナルとは?

T氏:悔いを残さないこと。すなわち私は、アマチュアです。

――ありがとうございました。

 



 宇宙世紀の真実に迫るただひとつのモビルスーツ専門誌 月刊機動戦士では、一緒に働く仲間を募集しています。メディア経験者、特にモビルスーツ産業への取材経験者優遇。ご応募は編集部まで。

 

 

 本記事はフィクションです。また、㈱サンライズ、㈱創通、およびガンダムシリーズとは一切関係ないファンテキストです。

 Special Thanks:武者小路三六丸

 

*1:編注:ジム・ガードカスタムは重力下ではない星一号作戦地球連邦軍によるジオン公国軍の宇宙要塞ア・バオア・クー攻略作戦。同要塞はジオン本国防衛の最後の砦のひとつとされ、一年戦争の中でも類稀な激戦となった)に投入された。

*2:編注2:一年戦争終結当時の階級