60 - 書いた小説2021-①

 ②があるのかわからん。

 

ナクヨムWeb小説コンテスト殺人事件(下村智恵理) - カクヨム

 

 カクヨムでやってるコンテストを題材に、インターネットであたまおかしなった作家の人たちが刃傷沙汰になるまであたまおかしなる話。カクヨムはとにかく「プロを気取らせる」ことが上手くて、上手さに気づけるくらい大人じゃないと危ないな~と常々感じている。たとえば最新エピソードを更新すると、ツイッターに通知するボタンが出てくるんだけど、これをクリックするとツイート画面が開いて、URLやタイトルに並んで「新しく公開しました」って文字が予め入力されている。いや公開しましたって何よって話で、あたかも企業案件の情報解禁みたいな雰囲気を、たった数文字ですら出してくるわけです。すごぉーく承認欲求が満たされるし、一事が万事この調子なのです。話毎PVも詳細にわかるし、Google analyticsを入れればアクセス解析も容易にできる。読者からのレスポンス(数字)をものすごく細切れに利用者へフィードバックして、気取らせて、細かく承認欲求を満たし続ける仕組みになっているのだ。

 別にせっせと書いちゃ上げ書いちゃ上げしてるだけならいいんだけど、ここにツイッターでの作者間交流とか、元々フォロワーを抱えてるから何もしなくても読まれる人を見るとか、骨太の面白さとバズの差とか、読まれるテンプレと読まれない非テンプレみたいな、インターネットのどこかで定期的に学級会されてるような悩みが重なってくる。すると人間がどんどん病んでくる。本人の病識の有無はともかく、発言の全部が学級会の内部化になっちゃってる人や、自分の技術を高めることがおろそかになって読まれる手段だけを考え続けてしまう人が量産されてくる。というか、カクヨムの作者界隈をツイッターで実際に見てみると、マジで山のようにいる。すっかり疲れてしまう人や、書籍化という極大承認ですべてのコンプレックスから自由になる人もいる。しかし事実として、読まれている作者はツイッターも活発であることが多かったりする。卵と鶏みたいな話だけど、ツイの面白さと作品の面白さに相関が生じているように見えてしまう。挙句の果てにカクヨム公式がツイッターでの作者への共感も大事!とかツイートしてたりする。なんてこった。

 そういうネット小説とSNSの厄介な関係が私は大嫌いだし、面白いなあと思うし、腹が立ちもする。ゆえに、この作品を書く動機が生まれた。

 

 3人の主人公はそれぞれ、元同人作家、元公募ワナビ、元ラノベ新人賞受賞者で、いずれもカクヨムには掃いて捨てるほどいるタイプである(ワナビとは作家志望者を指すネットスラングです)。そして、全員インターネットのせいで破滅する。なんもかんもインターネットが悪い。尊敬したり嫉妬したり、高めあったり足を引っ張り合ったり、コンテストを舞台に繰り広げられるアマチュア作家たちの奮闘を描く感動のヒューマンドラマ……ではなくサイコサスペンスであり全員破滅する。信じられるものは創作への情熱などではなく暴力と下半身である。インターネットが悪い。インターネットは人を不幸にするぞ。

 一応言い訳を添えておくと、カクヨムやってる人が誰も彼もこの作品の主人公達のような険しいマインドでやってるわけではないと思う。知らんけど。そもそもこれはカクヨムの話ではないし、2020年っぽいけどコロナのコの字もないことから、そういうことだとご理解いただければ幸いである。

 

 各キャラの設定には"""趣味"""が色濃く反映されていると思われるので、日頃の私を知っている人はそういう楽しみもありなんじゃないかな(やめろ)。アカウントを消したやつの過去の哀しい行いや、婚姻届とペアリングの写真を上げて結婚報告したやつへのどうかこうであってくれという祈りも盛り込んだ。

 もうひとつ。こういうものを書こう!と思った動機には、昔の友人がやはり「小説を書く小説」を書いていたことがある。彼はある文芸ジャンルの大物たちが主催したり登壇したりするサロン的なもの(参加費は結構いい額らしい)に参加し、コンペ的なやつを勝ち抜いて、最終課題で小説を書く小説を書いて、同じ参加者のワナビ仲間からはウケたものの審査者たちからメチャクチャに酷評されたらしい。私は2ch生まれのインターネット東側育ち、読んでる漫画は大体成コミなので、サロン的なものに真面目に取り組む文化はちょっとよくわからない。遠すぎるしあまり正の興味が湧かない(負の興味はともかく)。だが問題は、そのメチャクチャな酷評からざっくり半年、彼は何も書いていないらしいのだ。

 そこで、「小説を書く小説」という主題を被せたものを書いた。なんかこのブログたまに見てる的なことを彼は言っていたし。何事もやるも続けるも本人の気持ち次第なのはともかく、彼にはめげずに書き続けてほしいと思っている。何かしらの奮起に繋がれば幸いである。

 

 その他。これをこたつトップPCで書き始めて即腰が痛くなって座椅子を買った。なのでAmazonの注文履歴から、完成までの所要時間がわかる。その上こたつの魔力に抗うためにスマホのタイマーアプリを活用したので、大まかな1日あたりの作業時間もわかる。これらによると、着手から完成まで約17万文字の作品に45日だった。なお、労働が激しすぎて存在と無の地平線をさまよった日は除いた。1日あたりの作業時間は平均およそ3時間だった。すると、1日あたり3778文字、1時間あたり1259文字書いていたことになる。算出してみると、まあそんなもんじゃねーのという感じで全然意外性がなかった。自分のことなので当たり前だ。なお、17万文字というのは、文庫本に換算すると(組み方にもよるが)本文だけでおおむね300ページくらいになる。