58 - 旧赤線・松本市西堀を歩く

 みんなー、GoToしてるかなー?

 去る2020年7月25日、GoToキャンペーンを活用しつつ松本市を訪ねた。

 第一の目的地は、カエルで知られる縄手通り商店街。

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 入口からいきなり謎の巨大カエルのお出迎えを受ける。商店街のそこかしこにカエルの像が立ち、雑貨店ではこれでもかとカエルグッズが販売されている。元はと言えば、商店街が沿う川にカジカガエル(清流に生息するアオガエルの一種。鳴き声の美しさで知られ、万葉の昔から歌に詠まれている)が生息していたことによるのだという。しかし世は新型コロナウイルス騒ぎの真っ只中。

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 カエルたちもばっちりマスク着用だった。

 続いて第二の目的地は、旧開智学校

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 うう~ん、謎塔、謎唐破風、謎天使、これぞ明治の擬洋風建築……。

 行って初めて知ったんだけど、残念ながらこの建物は一度解体移築を経ているらしい。入ってみるとやけに綺麗で使用感がなく、以前に見物した旧岩科学校(伊豆松崎町)の方が見応えがあった。

 

 さて、ここからが本題。

 長野といえば教育県だが、白で塗り潰せば必ず下から黒がにじみ出てくるものだ。観光地化した松本市にも、かつては赤線、現在は怪しい(おっぱいを揉むタイプの?)スナック街と化した一角がある。それが西堀地区だ。

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 地図でいうとこのあたり。現在は松本市大手二丁目にあたる。なわて通りや松本城からの距離感がわかるかと思う。完全に徒歩圏。堀の西なのだからそりゃ当然だ。

 エリアの外れにあるコインパークに車を停め(松本市内の一方通行絶対に許せない)、小雨が降る中探索開始である。

 

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 まず目についたのがこれ。いかにもな看板建築だがいかがわしいやつではなく、銭湯である。建物は大正期に建てられたものだそう。いやあ見事。

 

 続けてエリア外周を歩いてみる。

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 こ、これは……トルコ風呂を駆逐した後に立ちがちな児童公園! 児童公園の周囲200mには性風俗店は営業できないのだ! ……と、思ったら、どうやらこの地域でそういう役割を果たした児童公園は別にあり、今は潰されて寺の敷地になっているらしい。かつてのものが硫黄島に翻った星条旗なら、この公園はさながらアーリントン国立墓地の銅像である。

 このあたりで、私も徐々に目が慣れてきた。

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 外周の同じ場所からエリアの外と内を見る。すると明らかに雰囲気が異なるのだ。

 

 外周を歩いて、徐に内側へと切り込んだあたりで出くわしたのが次の建物。

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 真ん中だけ艶っぽい窓が残っている。年代別のキメラである。

 

 しかし現在は基本住宅街の中にまばらにスナックという様子。かつての建物はあまり残っていないのかなー、と考えつつ歩いていると、とんでもないものが出てきたわけです。

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 見るからに妓楼そのものである。一階部分はさながら"ぬけられます"状態で、見つけた時は思わず拳を握ってしまった。しかもスナックとして未だに現役の様子。たぶんこのあたりがセクハラしたい人たち向けのお店なんだろうなー。

 

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 無造作に置かれた自転車が面白半分のよそ者を阻んでいた。

 

 気を良くして歩いていると、またすごい建物が。

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 窓がいい……。

 人が住んでいる気配はないし、後は取り壊すだけという雰囲気だが、一体どういう謂れの建物なのだろう。

 

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 近づいてみるとこんなものが。昭和27年って……。

 

 ここからはノスタルジックな気配を感じる建物等の写真を並べる。

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 写真は載せないが、改装して個人の住宅になっているものの、渡り廊下はあるは丸窓はあるわで見るからにそれな建物もあり。かつてのままうらぶれている建物もあれば、活用されているものもあり。とはいえ、今の主役はスナックかなあという感じ。

 

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 なぜかね、タイ料理店がね、やたらあるんですよね。同じ一角に3軒4軒とある。

 

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 タイ人接客のスナックにタイ古式マッサージもある。日本人というより女性はタイ人メインで、怪しいスナックの方はセクキャバみたいになってんのかなあ、と想像しつつコンビニでタバコを吸っていると、軽自動車からやたら透ける服のタイ人女性が降りてきてタバコを吸っていたりした。街が現役なら深入りは禁物。

 

 松本市西堀はここまで。次回は下諏訪・上諏訪編です。